自己都合退職でも給付制限がかからないケースと、ハローワークで認めてもらう流れ
自分から辞めたのだから、しばらく給付は出ない。そう思って相談に行かない人がいます。
自己都合でも、給付制限がかからない場合があります。しかも判断するのは会社ではなく、ハローワークです。
「自己都合」と書かれていても確定ではない
離職票には会社が記載した離職理由が入りますが、最終的に判断するのはハローワークです。本人が事情を申し立てれば、内容を確認したうえで区分が変わることがあります。
退職届に「一身上の都合により」と書いていても、それだけで決まるわけではありません。

給付制限がかかる場合の期間は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です。ただし、退職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格の決定を受けている場合は、3か月になります。この1か月か3か月かが、正当な理由が認められるかどうかで変わる部分です。
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正当な理由として扱われうる事情
「特定理由離職者」などに該当すると、給付制限がかからない扱いになります。代表的な事情は次のとおりです。
| 事情 | 補足 |
|---|---|
| 体調・けがで働き続けられない | 医師の診断書などを求められることがあります |
| 家族の介護・看護 | 同居や扶養の状況を確認されます |
| 配偶者の転勤などで通勤が困難に | 通勤にかかる時間や経路を確認されます |
| 期間の定めのある契約が更新されなかった | 本人が更新を希望していた場合 |
| 結婚にともなう転居 | 通勤が困難になる場合 |
| 会社の事情(賃金未払い、大幅な減給、ハラスメントなど) | 会社都合に近い扱いになることがあります |
賃金の未払いや長時間労働、ハラスメントが理由の場合は、自己都合ではなく会社都合に近い区分になりうる点は、知られていないところです。
会社の事情については、厚生労働省が示す範囲の中に、具体的な目安が書かれているものがあります。
- 離職の直前3か月間に、連続して各月45時間を超える時間外労働があった
- 賃金が、それまでの85%未満に下がった(本人が下がることを予見できなかった場合に限る)
- 上司や同僚から、故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせを受けた
自分の状況がどれに近いかを確かめるときは、この3つを手がかりにすると、集める資料も決めやすくなります。
「特定受給資格者」と「特定理由離職者」は、何が違うのか
給付制限がかからない人は、大きく2つの区分に分かれます。どちらに当たるかで、ほかの扱いも変わります。
| 区分 | 主な対象 | 給付制限 | 受け取れる日数 |
|---|---|---|---|
| 特定受給資格者 | 倒産・解雇、会社の事情による離職(長時間労働、賃金の大幅な低下、ハラスメントなど) | かからない | 年齢と加入期間に応じて手厚くなる |
| 特定理由離職者 | 契約が更新されなかった人(本人は更新を希望)、体調・介護・転居など正当な理由のある自己都合 | かからない | 正当な理由のある自己都合は、一般と同じ日数が基本 |
| 一般の離職者 | 上のどちらにも当たらない自己都合 | 原則1か月 | 一般の日数 |
どちらの区分でも、受け取るための加入期間の条件が「離職前1年間に6か月以上」にゆるめられます。また、国民健康保険料が軽くなる制度の対象になることがあります。
区分が一つ変わるだけで、受け取り始める時期、日数、保険料まで変わります。事情がある人ほど、窓口で申し立てる意味が大きくなります。
退職を勧められて辞める場合、退職届に何と書けばいいか
会社から辞めるよう勧められて応じる場合(退職勧奨)は、自分から辞めた形でも、会社の事情による離職として扱われうるケースです。厚生労働省が示す特定受給資格者の範囲にも、事業主から直接・間接に退職するよう勧められたことが入っています。
このとき、言われるままに「一身上の都合により」と書くと、自己都合として処理されやすくなります。次の点に気をつけてください。
- 退職届の理由は、「退職勧奨に応じたため」など事実のとおりに書く
- 会社が用意した書式に「一身上の都合」と印字されていたら、その場で出さずに書き方を相談する
- 勧められた日時、相手、言われた内容をメモに残す。メールで届いたものは保存する
会社の側が、退職勧奨ではなく本人の希望だったと記載することもあります。事実を示す記録があれば、ハローワークの窓口で申し立てるときの裏づけになります。
早期退職の募集に応じた場合は、募集の条件によって扱いが変わります。募集の案内の書面は捨てずに取っておいてください。
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証明できるものを残しておく
申し立てには裏づけが要ります。辞める前から集めておけるものがあります。
- 医師の診断書、通院の記録
- 勤務時間が分かるもの(タイムカードの控え、勤怠システムの画面)
- 賃金が下がったことが分かる給与明細
- 通勤経路と所要時間が分かるもの
- 相談した記録(社内窓口・労働局など)
辞めてから集めようとすると、会社に依頼しづらくなります。在職中に手元へ置いておくほうが確実です。
集めたものは、日付順に一つのクリアファイルやフォルダにまとめておくと、窓口で説明するときに順を追って見せられます。スマートフォンで撮った画面の写真も、撮った日が分かる形で残しておくと裏づけになります。
教育訓練を受けた場合の扱い
2025年4月以降、離職期間中または離職日前1年以内に、自ら教育訓練を受けた場合は給付制限がかからない扱いになりました。
対象になる訓練の範囲は決まっているので、受講を決める前にハローワークで確認してください。資格を取りたいと考えているなら、順番を工夫するだけで受給開始が早まる可能性があります。
解除を受けるには、訓練を行う施設が発行する訓練開始日の証明書が必要です。厚生労働省のページに参考様式が載っているので、受講先に記入してもらえるかを、申し込みの段階で確認しておくと手続きが滞りません。
ハローワークでは、どんな流れで判断されるのか
離職理由の判断は、おおむね次の流れで進みます。
- 受給の手続きのとき、離職票の離職理由について本人の認識を聞かれる
- 会社の記載と本人の申し立てが違う場合、ハローワークが提出された資料を確かめる
- 必要に応じて、会社にも事実を確認する
- 判断の結果が、受給資格者証に記載される
判断には資料が使われるので、言葉で説明するだけより、裏づけを1枚でも持っていくほうが通りやすくなります。
窓口では、たとえば次のように伝えます。
離職票には自己都合と書かれていますが、退職前の3か月間、毎月50時間ほどの残業が続いていました。勤怠システムの画面を印刷して持ってきています。
結果に納得できないときは、判断の内容について不服を申し立てる制度もあります。まずは窓口で、判断の理由を聞いてください。
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迷ったら、申し立てだけはしておく
ハローワークの窓口では、離職理由について本人の認識を聞かれます。ここで「会社の記載どおりで問題ありません」と答えると、その内容で判断が進みます。
事情があるなら、その場で伝えてください。書類が揃っていなくても、後から提出できる場合があります。
窓口で話すときは、いつから・何があって・なぜ続けられなかったかを、日付の入ったメモにしておくと伝えやすくなります。離職票が届いたら、会社が書いた離職理由の欄を先に読み、自分の認識と違う点に印をつけてから出かけてください。
今日やるとしたら
辞める理由が体調・介護・労働条件のいずれかに関係しているなら、その事実を裏づける資料を1つ、手元に確保してください。
診断書1枚、勤怠記録の写し1枚で、受け取れる時期が1か月変わることがあります。
よくある質問
- 自己都合でもすぐ受け取れる場合はありますか?
- あります。医師の指示による退職、家族の介護、配偶者の転勤にともなう転居など、正当な理由があると認められた場合は給付制限がかかりません。
- 退職届に「一身上の都合」と書いたら自己都合で確定しますか?
- 確定しません。ハローワークは離職票の内容と本人の申し立ての両方を見て判断します。事情がある場合は申し立ててください。
- 教育訓練を受ければ給付制限はなくなりますか?
- 2025年4月以降、離職期間中や離職日前1年以内に自ら教育訓練を受けた場合は給付制限がかからない扱いになりました。対象になる訓練かどうかはハローワークで確認してください。
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