医療事務の求人に「勤務地:〇〇病院」とあっても、雇い主が病院とは限らない。直接雇用・委託・派遣・紹介予定派遣を表で比べる
医療事務の求人票で「勤務地:〇〇総合病院」と書かれていても、あなたを雇う会社が病院だとは限りません。病院の受付・会計・レセプト業務は、病院が自分で職員を雇って任せる場合のほかに、医事業務を請け負う会社の社員が担当する場合や、派遣会社から来た人が担当する場合があります。同じ受付カウンターに並んで座っていても、給与を払う会社、仕事の指示を出す人、契約の期間が人によって違うのです。
この記事では、医療事務の主な4つの雇われ方を表で比べ、求人票と面接で雇い主を確かめる方法をまとめます。業務内容の読み方は「受付・会計」としか書かれていない求人で確かめることで扱っているので、あわせて使ってください。
4つの雇われ方を表で比べると?
| 雇われ方 | 雇い主 | 仕事の指示を出す人 | 契約期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 直接雇用 | 病院・クリニック | 病院の上司(医事課長など) | 正職員なら定めなし。パートは有期のことも |
| 委託会社の社員 | 医事業務を請け負う会社 | 委託会社の責任者 | 会社との契約による。病院との委託契約が終わると配置換えのことも |
| 派遣 | 派遣会社 | 病院の担当者 | 原則として同じ部署で3年まで |
| 紹介予定派遣 | 派遣期間中は派遣会社 | 病院の担当者 | 派遣期間のあと、双方が合意すれば病院の直接雇用へ |
毎日の働き方にいちばん関わるのは、「指示を出す人」の列です。ここから先は、この列を中心に見ていきます。
広告
委託会社の社員は、病院の人から直接指示を受けない?
病院が医事業務を外部の会社に任せる契約は、「請負」や「業務委託」の形をとります。厚生労働省の基準(昭和61年労働省告示第37号)では、請負と認められるには、請け負った会社が自社の労働者の仕事の進め方や勤務時間、配置を自ら管理していることが必要とされています。病院の職員が委託会社の社員に作業のやり方や残業を直接指示する状態が続くと、実態は派遣と判断されるおそれがあります。
そのため委託の職場では、病院からの依頼をまず委託会社のリーダーや責任者が受け、担当者に割り振る形にしているところがあります。面接では「病院の方から急ぎの依頼が来たとき、誰が受けて誰に回すのですか」と聞くと、現場の流れが見えてきます。
委託会社の社員として働く利点は、会社の研修で算定やレセプトを学べることや、ほかの病院への異動で経験の幅を広げられることです。反対に、病院との委託契約が終わると、勤務先が別の病院に変わることがあります。通勤できる範囲の異動かどうかは、内定前に確かめておきたい点です。

派遣の「3年」は、誰に関わる決まりか
病院での医師・看護師などの医療関係業務は、原則として派遣が禁止されています。一方で、受付・会計・レセプトといった医療事務の業務には、派遣の求人も多く出ています。
派遣には期間の制限があります。同じ派遣先の事業所が派遣を受け入れられる期間は原則3年で、同じ派遣社員が同じ部署(課など)で働ける期間も原則3年です。派遣会社に無期雇用されている人や60歳以上の人は、この期間制限の対象から外れます。
有期雇用の派遣で同じ病院の医事課に3年働いたあとは、同じ部署では続けられないということです。長く同じ病院で働きたいなら、3年が近づく前に、直接雇用の打診があるか、派遣会社が別の部署や病院を用意できるかを確かめておきます。
求人票と面接で、雇い主をどう確かめる?
見分けるときは、次の4つを順に見ます。
- 求人を出している会社名:病院名ではなく「株式会社〇〇」となっていれば、委託か派遣の可能性があります。
- 雇用形態の欄:「派遣社員」「紹介予定派遣」とあれば派遣です。「正社員」と書かれていても、雇い主が委託会社のことがあります。
- 給与・賞与・福利厚生の書き方:委託や派遣なら、病院ではなく会社の規程で決まります。健康保険も会社の加入先になります。
- 転勤・異動の欄:「契約先の医療機関への異動あり」といった記載があれば、委託会社の社員として病院に配置される働き方と考えられます。
書かれていない場合は、面接で「雇用契約を結ぶのはどちらですか」と聞いて構いません。内定後に届く労働条件通知書でも、使用者の名前と就業の場所を見比べられます。見る項目は労働条件通知書のチェックリストにまとめています。
広告
どの雇われ方を選ぶかの分かれ目
同じ病院で長く働き、賞与や退職金も病院の規程で受けたい人には、直接雇用が合います。未経験で研修を受けながら経験を積みたい人や、いくつかの病院を経験したい人は、委託会社の社員という選び方もあります。期間を区切って働きたい人や勤務日数を絞りたい人には派遣が合うことがありますが、3年の期間制限を頭に入れておきます。
病院の雰囲気を知ってから直接雇用で入りたい人は、紹介予定派遣の求人を探す方法があります。ただし、派遣期間のあとに直接雇用になるかは病院と本人の双方の合意しだいで、必ず採用されるわけではありません。
雇われ方ごとの月給や賞与の出方は、医療事務の給与を勤務先別に比べた記事で並べています。
今日やるとしたら
気になっている医療事務の求人を1件開き、求人を出している会社名と雇用形態の欄を見比べてください。病院名と違う会社が出しているなら、その会社が委託会社か派遣会社かを、会社名で調べるところから始められます。
よくある質問
- 委託会社の正社員と、病院の正職員では何が違いますか?
- 雇い主が違うので、給与・賞与・退職金・健康保険は委託会社の規程で決まります。病院との委託契約が終わったときに、別の病院へ異動になることがある点も違います。異動の範囲は内定前に確かめてください。
- 派遣で3年働いたら、その病院に直接雇用してもらえますか?
- 3年たてば自動的に直接雇用になるわけではありません。同じ部署で続けられるのは原則3年までなので、その前に病院から直接雇用の打診があるか、派遣会社が別の職場を用意できるかを確かめておくと安心です。
- 求人票を見ても雇い主が分からないときは、聞いてもいいですか?
- 聞いて構いません。面接で「雇用契約を結ぶのはどちらですか」と確かめるのは自然なことです。内定後の労働条件通知書でも、使用者の名前と就業の場所を確認できます。
この記事に関係する職業
仕事内容・平均年収・求人倍率は、それぞれの職業ページにまとめています。