転職で年収は上がるのか。上がった人に共通していること
転職すれば年収は上がるのか。上がった人もいれば、下がった人もいます。
年収に大きく影響するのは、あなたの能力に加えて「移った先の相場」です。同じ働きをしても、業界と会社が変われば額は変わります。
年収を決めている3つ
影響の大きい順に並べています。
- 業界・職種の相場 — ここがいちばん大きい。同じ事務職でも、業界で水準が違います
- その会社の給与テーブル — 中途でも、等級と号俸の枠から大きくは外れません
- 交渉 — 動かせるのは多くの場合その枠の中。ただし、やるかどうかで差は出ます
つまり、1で外していると、3をどれだけ頑張っても届きにくくなります。年収を上げたいなら、まず見る場所は求人票の金額ではなく、その業界の水準です。

業界の水準を確かめるには、同じ職種名で業界だけが違う求人を、転職サイトで10件ほど開いて年収欄を並べる方法が手軽です。たとえば「経理」で検索し、メーカー、IT、医療、小売と業界を変えて見ると、同じ職種でも年収の幅の位置が違うことが分かります。公的な統計で自分の位置を確かめる手順は自分の年収は平均より上か下かにまとめています。
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上がりやすい動き方
共通しているのは、変える要素を1つに絞っていることです。
- 職種はそのまま、相場の高い業界へ移る — 経験がそのまま通用するので、評価が落ちにくくなります
- 同じ仕事の範囲が広い会社へ移る — 一人で回していた経験は、規模の小さい会社ほど高く評価されます
- 資格や経験が要件に明記されている求人を狙う — 要件を満たす人が限られるので、条件が動きやすくなります
2つ目の「範囲が広い」経験は、書き方で伝わり方が変わります。職務経歴書では「経理を担当」とまとめず、「月次決算、請求・支払、給与計算、年末調整を一人で担当」のように、担当していた業務を並べて書くと、読み手が範囲の広さを判断できます。
下がりやすい動き方
- 職種も業界も同時に変える — 未経験扱いになり、評価の起点が下がります
- 急いで1社だけ受けて決める — 比較対象がないと、提示額が相場かどうか分かりません
- 提示を見てから条件を言う — 出てきた数字に引きずられます
急いでいるときほど下がりやすくなります。待てる状態を作れるかどうかが、金額に表れやすいところです。
職種も業界も変えたい場合は、一度に変えずに2回に分けて考える方法があります。まず今の職種のまま行きたい業界へ移り、業界の知識を身につけてから社内異動や次の転職で職種を変えると、未経験扱いになる範囲を小さくできます。
上げたい額によって、動き方はどう変わるのか
どれだけ上げたいかで、選ぶ動き方が変わります。目安として並べます。
| 上げたい幅 | 現実的な動き方 | 注意すること |
|---|---|---|
| 年30万円前後 | 同じ職種・同じ業界で、条件の良い会社へ | 手当や賞与の差で埋まることが多い。額面の内訳を確かめる |
| 年50万〜100万円 | 同じ職種で、相場の高い業界へ | 業界の知識を身につけるまで、最初の1年は負荷が上がる |
| 年100万円以上 | 役割を上げる(リーダー、管理職、専門職) | 求められる責任が変わる。残業や休日の扱いも確かめる |
上げたい額が大きいほど、変わるものも大きくなります。額だけでなく、何と引き換えになるのかを表の右側で確かめてください。
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年収が上がったように見えて、実は変わらない提示とは
提示額が上がっていても、中身をそろえると差がなくなることがあります。よくあるのは次の4つです。
- 年俸制で賞与込み:年俸を12で割った額が月給になり、賞与はありません。いまの月給と賞与を合わせた年収と比べてください
- 固定残業代が多い:月給は上がっていても、残業時間が増えていれば、時間あたりの給与は下がっていることがあります
- 成果給の割合が大きい:提示額が「目標を達成した場合」の額で、基本の部分は低いことがあります
- 試用期間中の給与が低い:最初の3〜6か月は額が下がる会社もあります
提示を受けたら、「基本給」「固定の手当」「変動する部分」の3つに分けて書き出すと、本当に上がるのかが見えます。
転職しないで上げる方法と、どう比べるか
年収を上げる方法は、転職だけではありません。いまの会社で上げる道と並べて比べると、判断がぶれにくくなります。
- 昇格:次の等級に上がる条件と時期が、評価制度に書かれていることがあります
- 資格手当:会社が指定する資格を取ると、毎月の手当が付くことがあります
- 異動:手当の厚い部署や職種に移れる場合があります
いまの会社で上がる見込みが、2〜3年で年数十万円程度あるなら、転職で得られる上げ幅と比べてみる価値があります。転職は、いまの会社で上がる道が見えないときに、いちばん効く選択肢です。
提示額は「幅」で聞いておく
面接の途中で希望額を聞かれたら、1点ではなく幅で答えるのが無難です。
現在が◯◯万円です。役割が広がる分も含めて、◯◯万〜◯◯万でご相談できればと考えています。
下限を現職と同額にしておくと、下がる形の提示は出にくくなります。逆に「御社の規定に従います」と答えると、枠の下のほうで決まりがちです。
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額面だけで比べない
提示額が上でも、手取りや働き方が悪くなることがあります。比べる前に、次を揃えて確認してください。
| 見る項目 | なぜ |
|---|---|
| 固定残業代の有無と時間数 | 額面に含まれていることがある |
| 賞与の実績 | 「年◯か月」は見込みで、実績とは別 |
| 通勤時間と交通費 | 時間も費用も毎日かかる |
| 退職金・企業年金 | ない会社も多い。長期では差が大きい |
額面が同じでも、固定残業45時間込みかどうかで中身は別物です。
年収が下がっても、移ったほうがいい場合はあるか
年収が下がる転職が、いつも失敗というわけではありません。次のような場合は、額面が下がっても移る理由になります。
- 時間あたりの給与で見ると上がる:残業が月30時間減れば、年収が少し下がっても1時間あたりの給与は上がることがあります
- 体や家庭の事情で、今の働き方を続けられない:続けられない仕事の年収は、長い目で見ると当てになりません
- 数年後に上がる道がはっきりしている:資格を取れば手当が付く、経験を積めば等級が上がる、と制度に書かれている
大事なのは、下がる額と、その代わりに得るものを、両方とも具体的に書き出すことです。時間あたりで比べる計算は年収500万円で残業月30時間と、年収450万円で残業なしにあります。
応募の前に、上がるかどうかをどう見積もるか?
提示額が出る前でも、求人票と面接で見積もりの材料は集められます。
- 年収の幅のどこに入りそうか:「年収400万〜600万円」のような幅は、経験やスキルで決まる等級の違いを表していることが多いです。面接で「今回の募集では、どの等級を想定されていますか」と聞くと、位置が見えてきます
- 1年目と2年目の違い:賞与の算定期間によっては、入社1年目の賞与が満額にならないことがあります。1年目の見込み額と、2年目以降の見込み額を分けて聞いておきます
- 退職金や企業年金の有無:毎年の年収には出てきませんが、長く勤めるほど差が開く項目です
提示額が出たあとの進め方は内定後に年収交渉はできるのかに、転職で賃金が増えた人の割合を年代別に見たデータは転職した人の賃金の変化(年代別)にまとめています。
今日やるとしたら
年収を上げたいなら、最初にやることは求人探しではありません。
- いまの職種が、どの業界で高く扱われているかを調べる
- 自分の経験が、そのまま通る範囲を確認する
この2つが分かってから動くと、同じ労力で結果が変わります。
しごと大全で見る職業
仕事内容・平均年収・求人倍率は、それぞれの職業ページにまとめています。