「1日平均80枚、薬剤師3人」は忙しい薬局? 処方箋40枚に1人の基準から、求人と面接で確かめる5つの数字
薬局で調剤に従事する薬剤師の人数には、法令で下限があります。前年の1日平均の処方箋枚数を40で割り、端数を切り上げた数です。1日平均100枚なら2.5なので3人、80枚なら2人になります。
求人票や面接で「1日平均80枚、薬剤師3人」と聞いたとき、この基準を知っていると、数字の読み方が変わります。この記事では、基準の中身を確かめたうえで、薬剤師1人あたりの忙しさを見積もるために聞いておきたい数字を5つに分けて並べます。
「40枚に1人」は、何を数えた基準ですか
根拠は「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」の第1条です。数えるのは前年1年間の取扱処方箋の合計を、業務を行った日数で割った平均です。眼科・耳鼻咽喉科・歯科の処方箋は、1枚を3分の2枚として数えます。開局して3か月未満の薬局は、見込みの数で考えます。
人数は、パートの薬剤師も勤務時間で常勤に換算して数えます。自治体が配る薬局の体制のチェックリストでも、調剤に従事する薬剤師数は「常勤換算」で記入する様式になっています。同じ省令では、調剤に従事する薬剤師の週の勤務時間の合計が、開店している時間の合計以上であることも求めています。
つまり、基準を満たしていても「どの時間帯にも2人以上いる」とは限りません。基準は最低ラインであり、働きやすさの目安として作られたものではない点に注意が必要です。
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求人の数字を、基準と並べてみる
次の表は、計算の仕方を示すための例です。実際の薬局の数字ではありません。
| 例 | 1日平均の処方箋 | 基準で数える枚数 | 基準の人数 | 求人にある人数 |
|---|---|---|---|---|
| 内科の門前 | 100枚 | 100枚 | 3人 | 常勤3人 |
| 眼科の門前 | 120枚 | 80枚 | 2人 | 常勤2人+パート1人 |
| 内科と眼科 | 内科60枚・眼科30枚 | 80枚 | 2人 | 常勤換算2.5人 |
内科の門前の例は、基準どおりの人数です。休みや有給の日は、誰かが抜けた状態で同じ枚数を受けることになります。眼科の門前の例は枚数が多く見えても、基準では80枚として数えるため、必要な人数は2人になります。実際の手間は処方の中身によるので、枚数とあわせて、どんな薬が多いかも聞いておきます。
自分の1日に直すときは、枚数を「その日に調剤に入る薬剤師の人数」で割ります。常勤換算2.5人の薬局でも、パートが午前だけなら、午後は2人で受けている時間があります。
枚数が同じでも、忙しさが違うのはなぜですか
処方箋1枚にかかる時間は、中身で大きく変わります。高齢の患者さんが多く、一包化や粉薬の調製が多い薬局では、同じ枚数でも手が止まる時間が長くなります。
事務員や調剤補助の人がどこまで手伝えるかも差になります。厚生労働省の通知(平成31年4月2日)では、薬剤師の指示のもと、目の届く場所でPTPシートの薬を取りそろえることや、監査前に一包化した薬の数を数えることを、薬剤師以外の人が行えるとしています。一方で、散剤や水剤を量ったり混ぜたりすることは、引き続き薬剤師が行います。
もう一つは時間帯の偏りです。門前の医院の診察が終わる時刻に患者さんが集中するため、1日平均が同じでも、待合室があふれる時間がある薬局とない薬局があります。在宅訪問がある薬局では、訪問に出ている間、店内の人数が減ります。
面接と見学で聞きたい5つの数字
数字で聞くと、答える側も具体的に話しやすくなります。次の5つを順に確かめると、1人あたりの負担が見えてきます。
- 1日平均の処方箋枚数と、多い曜日の枚数:月曜や連休明けの数を聞く
- 時間帯ごとの薬剤師の人数:開局から閉局まで、最も少ない時間帯は何人か
- 主な処方元の診療科:眼科・耳鼻科・歯科の割合、一包化の多さ
- 調剤補助の体制:ピッキングや一包化の数量確認を事務員が手伝っているか
- 在宅訪問の件数と担当者:訪問に出る日は店に何人残るか
見学では、患者さんが集中する時間帯に待合室の様子を見られると、数字の実感がつかめます。「一人薬剤師」「かかりつけ」など求人票の言葉の読み方は薬剤師の求人票の言葉を整理した記事に、給与の比べ方は職場別の年収を比べた記事にまとめています。

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答えをどう比べるか
5つの答えがそろったら、「最も少ない時間帯の人数で、その時間帯の枚数を受けられるか」を考えます。たとえば午後に2人で、閉院前の1時間に30枚が集中するなら、1人15枚を1時間で受ける計算です。
ただし、枚数が多いことがそのまま悪いとは限りません。処方の幅が広い薬局では、短い期間で多くの薬に触れられます。反対に枚数が少ない薬局では、服薬指導や在宅に時間をかけられることがあります。自分が次の職場で何を大切にしたいかと合わせて、数字を見ていくとよいでしょう。
今日やるとしたら
気になっている求人を1つ選び、上の表の空いている行に、分かっている数字を書き入れてみてください。書けなかった欄が、面接で最初に聞く質問になります。
よくある質問
- 処方箋40枚に薬剤師1人というのは、1人が1日に40枚まで受けるという意味ですか?
- そうではありません。前年の1日平均枚数から薬局全体に必要な薬剤師数の下限を出すための計算で、1人が受け持つ上限を決めたものではありません。実際の負担は、時間帯ごとの人数や処方の中身で変わります。
- 面接で処方箋の枚数を聞いても失礼になりませんか?
- 働き方を具体的に確かめるための質問なので、聞いてかまいません。「多い曜日は何枚くらいですか」「午後は何人体制ですか」のように、曜日や時間帯を区切ると答えてもらいやすくなります。
- 処方箋枚数が少ない薬局のほうが働きやすいですか?
- 一概には言えません。枚数が少なくても薬剤師の人数が少なければ1人の負担は重くなりますし、枚数が多くても人数や調剤補助の体制が整っている薬局もあります。人数と時間帯をあわせて見ることが大切です。
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