自分の市場価値がわからない人のための、簡単な確認手順
「自分がいま転職したら、どのくらいの条件で採ってもらえるのか」
これがわからないまま、動くか動かないか決めようとすると、判断ができません。転職しない理由を探しているのか、単に情報が足りないのかも区別がつかなくなります。
この記事では、応募せずに、登録もせずに確かめられる手順を4つに分けて書きます。昼休みのあいだにできる範囲です。
そもそも市場価値とは何を指すのか
市場価値という言葉は誤解されやすいのですが、これはあなたの能力を採点した数値ではありません。いま、どれだけの企業が、あなたのような人を探しているかという、需要の話です。
同じ経歴でも、業界の採用状況が変われば数字は動きます。あなたが優秀になったわけでも、劣化したわけでもない。この前提を置いておくと、結果を見たときに落ち込まずに済みます。
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ステップ1:自分の経歴を3行に圧縮する
まず、自分を検索しやすい形に直します。次の3項目だけ書いてください。
- 職種(例:一般事務/法人営業/介護職員)
- 経験年数(例:3年)
- 業界または扱っているもの(例:建設/医療機器/小売)
「営業事務を3年、建設会社で」。これで十分です。
ここで細かく書きすぎないのがコツです。細かくするほど該当する求人が減り、市場が小さく見えてしまいます。
ステップ2:求人検索で「件数」だけを見る
次に、求人サイトの検索窓にステップ1の3行を入れます。ここでやることは、求人を読むことではありません。

表示された件数を見るだけです。
- 勤務地を広めに設定した件数
- 通勤圏に絞った件数
この2つをメモします。件数が3桁あるなら、あなたのような人を探している会社はそれだけあるということです。
求人の中身を読み始めると、今日はここで止まります。件数だけ見て、いったん閉じてください。
件数が思ったより少ないときは、職種名の呼び方を変えて検索し直します。「営業事務」なら「営業アシスタント」「受発注事務」、「介護職員」なら「介護スタッフ」「ケアスタッフ」のように、同じ仕事でも求人によって書き方が違うためです。2〜3通りの呼び方で件数を見ると、実際の需要に近い数がつかめます。
ステップ3:3社ぶんの給与レンジを書き写す
件数を見たら、上から3つの求人を開いて、給与欄だけ書き写します。仕事内容は読まなくてかまいません。
多くの求人は「月給25万〜35万円」のような幅で書かれています。この幅の下限に注目してください。
下限は、多くの場合、求人の要件を最低限満たす人を想定した金額です。あなたに経験年数があるなら、下限より上で話ができる可能性があります。上限は最も条件のよい場合の数字なので、期待の基準にはしないほうがいいです。
3社の下限を並べると、いまの相場のおおよその位置がつかめます。
書き写すときは、金額の横に「固定残業代込み」「賞与なし」などの注記も一緒にメモしておきます。月給が同じでも、固定残業代が含まれているかどうかで、基本の給与は変わります。年収で書かれた求人と月給で書かれた求人が混ざっているときは、どちらかにそろえてから比べてください。
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ステップ4:いまの年収と並べて、差の理由を1つ書く
最後に、ステップ3で出た数字と、いまの自分の年収を並べます。
いまの年収は、前の年の源泉徴収票の「支払金額」を見ると、税金や社会保険料が引かれる前の額が分かります。手取りの額と求人の額面を比べてしまうと、差を大きく見積もってしまうので気をつけてください。
そして、差があるなら、その理由を1つだけ書いてください。
- 求人のほうが高い → 勤務地が遠い/残業が多い/業界が違う、など
- いまのほうが高い → 勤続年数による積み上げ/手当が厚い、など
ここで大事なのは、金額だけで判断しないことです。求人の金額が高く見えても、通勤1時間の増加や、残業20時間の増加と引き換えかもしれません。理由を1つ書いておくと、あとで冷静に比べられます。
年収のほかに、何を比べればいいのか
給与の幅が分かったら、同じ求人の中で次の3つも見ておくと、比べ方が正確になります。
- 年間休日:120日前後か、105日前後かで、働く日数が年に2週間以上変わります
- 残業の目安:「月20時間程度」などの記載があれば、時間あたりの給与に直して比べられます
- 賞与の有無と回数:月給が同じでも、賞与があるかで年収は大きく違います
時間あたりで比べる方法は、年収500万円で残業月30時間と、年収450万円で残業なしで計算しています。
この4ステップで何がわかり、何がわからないのか
わかること
- あなたのような経歴を探している企業が、いまどのくらいあるか
- 提示される金額のおおよその幅
- いまの条件が、相場に対して上か下か
わからないこと
- 具体的にどの企業があなたに関心を持つか
- 面接まで進んだときの評価
- 書かれていない条件(職場の雰囲気、実際の残業)
後半を知るには、企業側の反応を見るしかありません。ただ、そのために応募して落ちる、という手順を踏む必要は必ずしもありません。企業側から関心が届く形のサービスであれば、応募も履歴書も出さずに反応だけ確かめられます。
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結果が思ったより低かったら、どうすればいいのか
数字が想像より低く出ることもあります。そのときは、次の2つを確認してください。
検索条件を絞りすぎていないか
勤務地を市区町村単位にしたり、業界を固定したりすると、件数は一気に減ります。条件をひとつ外して再検索すると、見え方が変わります。
比べる相手が適切か
同じ職種・同じ年代の求人を見ているかどうか。管理職向けの求人と比べれば、当然低く見えます。
それでも低いと感じるなら、それは条件を見直す材料であって、あなたの評価ではありません。市場価値は需要の話だ、というはじめの前提に戻ってください。
求人サイトのほかに、公的なデータでも確かめられるのか
求人の件数や給与は、そのときに出ている求人に左右されます。もう少し落ち着いた数字で見たいときは、公的なデータを並べて見ると補えます。
- 厚生労働省の「job tag(職業情報提供サイト)」:職業ごとに、仕事の内容、平均的な賃金、求人倍率などがまとめられています
- 有効求人倍率:求職者1人あたりに何件の求人があるかを示す数字です。職業別の調べ方は有効求人倍率1.18倍は、自分の職種にも当てはまるのかにまとめています
- このサイトの「しごと大全」:職業ごとの年収や求人倍率を、しごと大全で一覧にしています
公的なデータは全国の平均なので、地域や会社の規模による差は見えません。求人サイトの数字が「いまの相場」、公的なデータが「全体の目安」と分けて使うと、どちらかに引きずられずに済みます。
一度で終わらせず、半年ごとに同じ手順で測る
市場価値は需要の話なので、時間がたてば変わります。一度確かめて終わりにせず、半年に1回、同じ手順で測ると変化が見えてきます。
測るときは、前回と同じ条件をそろえてください。
| そろえること | 理由 |
|---|---|
| 検索に入れる3行 | 言葉が変わると件数が比べられない |
| 勤務地の範囲 | 範囲を変えると件数が大きく動く |
| 見る求人の数(3社) | 数を変えると給与の幅がぶれる |
件数が増えていれば、あなたのような人を探す企業が増えています。下限の給与が上がっていれば、相場そのものが上がっています。動くかどうかを決める材料は、1回の数字より、変化の向きです。
今日やるとしたら
ステップ1の3行だけ、スマートフォンのメモに書いてください。
- 職種
- 経験年数
- 業界または扱っているもの
この3行があれば、次に時間ができたときに、ステップ2から5分で始められます。企業側の反応まで確かめたくなったら、「探さない転職」という選択肢も読んでみてください。
よくある質問
- 転職サイトに登録しないと市場価値はわかりませんか?
- 登録しなくても確かめられます。経歴を3行にまとめて求人検索で件数を見て、3社ぶんの給与の下限を書き写せば、おおよその需要と金額の幅がわかります。
- 求人の給与は、幅の上限と下限のどちらを見ればいいですか?
- 下限を見てください。下限は未経験に近い人に出す金額なので、経験年数があればそこより上から交渉が始まります。
- 結果が想像より低かったら、自分の評価が低いということですか?
- 評価ではなく、いまの市場の状態です。検索条件を絞りすぎていないか、同じ職種・年代の求人と比べているかをまず確認してください。
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