退職後の健康保険はどれを選ぶか。任意継続・国保・扶養の比べ方

退職とお金の手続き 公開 2026-09-18 更新 2026-10-14

書類と机

退職日と入職日が1日でも空くと、健康保険を自分で手配する必要があります。手続きをしないままだと、病院の窓口でいったん医療費の全額を払うことになる場合があります。

要点はここです。選択肢は3つ。そして任意継続だけは20日という短い期限があります。

3つの選択肢

選択肢保険料の決まり方手続き先期限
任意継続在職中の保険料をもとに算定(会社負担分も自己負担)健康保険組合・協会けんぽ退職日の翌日から20日以内
国民健康保険前年の所得と自治体の料率市区町村役場退職日の翌日から14日以内
家族の扶養保険料はかからない家族の勤務先家族の会社の指示による

任意継続の20日が最も短く、過ぎると原則として選べなくなります。迷っている段階でも、先に必要書類だけ揃えておいてください。

書類と机

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どちらが安いかは人によって違う

よく「任意継続のほうが安い」と言われますが、常にそうとは限りません。

任意継続が有利になりやすい人

  • 前年の所得が高い(国保の保険料が高くなる)
  • 扶養している家族が多い(任意継続では人数が増えても保険料が変わりません)

国民健康保険が有利になりやすい人

  • 前年の所得が低い、または退職で大きく下がった
  • 扶養家族がいない
  • 自治体の軽減制度に該当する(会社都合の退職では、保険料が軽減される仕組みがあります)

会社都合で辞めた場合の軽減制度は見落とされがちです。該当すれば国保の保険料が下がることがあります。

比べる手順

  1. 加入していた健康保険組合(または協会けんぽ)に、任意継続にした場合の月額を聞く
  2. 市区町村役場に、国民健康保険にした場合の年額を試算してもらう(前年の所得が分かるものを持参)
  3. 会社都合退職なら、軽減制度が使えるかもあわせて聞く
  4. 2つを並べて、安いほうを選ぶ

どちらも電話や窓口で試算してもらえます。自分で計算する必要はありません。

国民健康保険に入る手続きでは、前の健康保険をいつ抜けたかが分かる書類を求められます。会社から届く資格喪失の証明書や退職証明書、マイナンバーが分かるもの、本人確認書類を用意しておくと、窓口で1回で済みます。必要な書類は市区町村によって違うので、出かける前にサイトで確かめてください。

任意継続を選ぶ前に知っておきたい条件は?

任意継続は、退職すれば誰でも選べるわけではありません。協会けんぽの案内では、退職日までに継続して2か月以上、被保険者だったことが条件です。入社してすぐに辞めた場合は、選べないことがあります。

加入できる期間は、最長2年です。2年たつ前に次の会社の健康保険に入れば、その時点で任意継続は終わります。本人が申し出てやめることもできるので、たとえば家族の扶養に入れることになったときは、加入先に手続きを確かめてください。

保険料は、在職中の給与をもとにしますが、計算に使う額には上限があります。このため在職中の給与が高かった人は、会社が負担していた分を自分で払うことになっても、退職前に給与から引かれていた額のちょうど2倍にはならないことがあります。具体的な月額は、手順1のとおり加入先に聞くのがいちばん確かです。

保険料を納付期限までに払わないと、任意継続の資格を失います。口座振替や前納を選べるかも、申し込みのときに確かめておきます。

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家族の扶養に入れる場合

配偶者や親が会社員で、自分の収入の見込みが基準を下回るなら、扶養に入るのがいちばん安くなります(保険料の負担がありません)。

ただし注意点があります。失業給付を受けていると、基本手当の日額によっては扶養に入れません。受給が始まったら抜ける、終わったら入り直す、という手続きが必要になる場合があります。

会社都合の軽減を使うと、国保はどれくらい下がるのか

倒産・解雇・雇い止めなどで辞めた人(雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者で、離職時に65歳未満の人)は、国民健康保険料の計算が軽くなります。

  • 何が変わるか:前年の給与所得を、100分の30として保険料を計算します
  • いつまで続くか:離職日の翌日が属する月から、その翌年度の末までです
  • 何が要るか:雇用保険受給資格者証(またはハローワークで交付される通知)を、市区町村の窓口に持っていきます

給与所得が3割として扱われるので、所得に応じて決まる部分の保険料が大きく下がります。会社都合で辞めた人は、任意継続より国保のほうが安くなる場合がかなり多くなります。

軽減は自分で申し出ないと適用されません。ハローワークで受給資格の決定を受けたら、その足で市区町村の窓口に行くと手間が1回で済みます。

迷ったときは、どの順番で決めればいいか

次の3つの質問に、上から順に答えると選択肢が絞れます。

  1. 家族の扶養に入れるか 収入の見込みが年130万円未満(60歳以上などは180万円未満)なら、まず扶養を検討します。失業給付を受ける場合、目安として基本手当日額が3,612円以上だと、受給中は扶養に入れないとされることが多いです。家族の勤務先の健康保険に確かめてください
  2. 会社都合で辞めたか 該当すれば、上の軽減を使った国保の額を出してもらいます
  3. 次の会社まで何か月あるか 1〜2か月で次の健康保険に入るなら、手続きの手間が少ないほうを選ぶのも一つの考え方です

扶養に入れる人は、保険料がかからないぶん、ほかの2つより有利になることがほとんどです。

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健康保険が切り替わる前後に、病院にかかるときは?

退職日の翌日からは、前の会社の健康保険は使えません。

  • 退職後に、前の保険証や資格確認書を使って受診しない
  • 新しい保険の手続きが終わる前に受診する場合は、窓口で「手続き中」と伝え、扱いを確かめる
  • いったん全額を払った場合は、加入した保険に申請すると、自己負担分を除いた額が戻ることがあります

前の保険で受診してしまうと、あとで医療費の返還を求められます。通院中の人は、退職日と次の手続きの日程を先に決めておいてください。

空白が数日だけでも、手続きは必要なのか

退職日と入社日の間が数日だけでも、その間はどの健康保険にも入っていない状態になります。国民健康保険への加入の届け出は、原則として必要です。

ただ、保険料は月単位で計算されます。会社の健康保険は、入った月から保険料がかかります。そのため、同じ月のうちに次の会社の健康保険に入れば、その月の保険料は新しい会社の保険で払う形になり、国保の保険料はかからないことがあります。

一方、月をまたいで空く場合は、空いた月の分の国保の保険料がかかります。届け出が遅れても、保険料は加入すべきだった月までさかのぼって計算されます。

扱いは市区町村によって細かく違うので、空白の期間と次の入社日を伝えて、届け出が要るかと保険料がいくらになるかを窓口で確かめるのが確実です。

年金もセットで手続きする

健康保険と一緒に、年金の切り替えも必要です。

  • 次の職場まで空く場合 → 国民年金(市区町村役場、退職日の翌日から14日以内)
  • 配偶者の扶養に入る場合 → 第3号被保険者の手続き(配偶者の勤務先)

保険料を払うのが難しい場合は、免除や納付猶予の申請ができます。未納のまま放置すると将来の年金額に響くので、早めに窓口で相談してください。年金の手続きの順番は退職して次の会社まで間が空くなら、国民年金の手続きは14日以内ににまとめています。

今日やるとしたら

退職日が決まっているなら、カレンダーに「退職日の翌日+20日」を書き込んでください。

この日付を過ぎると選択肢が1つ減ります。比較はそのあとで間に合います。

よくある質問

任意継続と国民健康保険はどちらが安いですか?
人によって違います。任意継続は在職中の保険料の会社負担分も自己負担になり、国民健康保険は前年の所得で決まるため、両方を試算して比べる必要があります。
任意継続の手続きはいつまでですか?
退職日の翌日から20日以内です。この期限を過ぎると任意継続は選べません。
家族の扶養に入れますか?
収入の見込みが条件を下回る場合は入れます。ただし失業給付を受けていると、日額によっては扶養から外れることがあります。

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