無期転換・限定正社員・正社員は、何が違うのか。「正社員になりたい」ときに5つの項目で比べる
契約社員や派遣で同じ会社に長く勤めていると、「5年たてば正社員になれる」という話を耳にすることがあります。これは、労働契約法の無期転換ルールのことを指している場合が多いのですが、無期になることと正社員になることは、同じ意味ではありません。
「正社員になりたい」と考えたとき、実際に選べる働き方は大きく3つあります。無期転換、勤務地や仕事を限った限定正社員、そしていわゆる正社員です。この記事では、この3つを5つの項目で並べ、どれが自分の希望に近いかを確かめられるようにしました。
無期転換すれば、正社員になるのか?
無期転換ルールは、同じ会社との有期労働契約が更新されて通算5年を超えたとき、働く人が申し込めば期間の定めのない契約に変わる仕組みです。厚生労働省の特設サイトでは、会社はこの申込みを断ることができないとされています。
ただし、労働契約法第18条では、転換後の給与などの労働条件は、別の定めがある部分を除いて、それまでの有期契約と同じとされています。つまり、変わるのは「契約の期間」で、賞与や昇給の仕組みまで正社員と同じになるとは限りません。
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3つの働き方を、5つの項目で比べると
| 項目 | 無期転換 | 限定正社員 | 正社員 |
|---|---|---|---|
| 契約期間 | 定めなし | 定めなし | 定めなし |
| 給与・賞与 | 別の定めがなければ転換前と同じ | 会社の規程による。正社員と分けている会社もある | 正社員の給与規程による |
| 仕事の範囲 | 転換前と同じが基本 | 職務を限ることがある | 会社の命令で変わりうる |
| 勤務地・転勤 | 転換前と同じが基本 | 勤務地を限ることがある | 転勤がある会社もある |
| 求人票・通知書での書かれ方 | 「無期雇用」「無期契約社員」など | 「勤務地限定正社員」など | 「正社員」 |
表の中身は、会社の就業規則でかなり変わります。呼び方より、通知書に書かれた中身で比べるのが確実です。

限定正社員かどうかは、どこを見れば分かる?
2024年4月から、会社が働く人に渡す労働条件通知書には、就業場所と業務の「変更の範囲」を書くことになりました。有期契約の人には、更新の上限や、無期転換を申し込める機会についての明示も加わっています。
「変更の範囲」が「会社の定める事業所」「会社の定める業務」となっていれば、転勤や異動の可能性がある正社員に近い働き方です。反対に、特定の事業所や業務に限られていれば、限定された働き方だと読み取れます。転職先の求人を見るときも、内定後の通知書でこの欄を確かめてください。
社内で目指すか、転職で目指すか
いまの会社に正社員登用の制度があるなら、まず過去数年の登用の実績を聞いてみてください。制度があっても、ほとんど使われていない会社もあります。
国には、非正規で働く人を正社員に転換した会社を支援する「キャリアアップ助成金」があります。会社にとって転換を後押しする仕組みがあるということなので、登用を相談するときの材料の一つになります。
実績がほとんどない、または登用の条件がはっきりしないなら、転職で正社員の求人に応募するほうが近道になることもあります。契約社員や派遣で積んだ経験の書き方は職務経歴書が書けない。3行のメモから始める書き方を参考にしてください。
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今日やるとしたら
いま手元にある雇用契約書か労働条件通知書を出して、「契約期間」「更新の上限」「就業場所の変更の範囲」の3か所に印をつけてください。
3つが書かれていれば、自分がいま表のどこにいるかが分かります。書かれていなければ、それを人事に確かめることが、正社員を目指す最初の一歩になります。
よくある質問
- 無期転換すれば、正社員になれますか?
- 無期転換で変わるのは、契約期間の定めがなくなることです。労働契約法では、給与などの労働条件は、別の定めがなければ転換前と同じとされています。正社員と同じ待遇になるかどうかは、会社の就業規則や個別の取り決めによります。
- 限定正社員は、正社員より不利ですか?
- 一概には言えません。勤務地や仕事の範囲が限られるぶん、転勤がないなどの利点もあります。一方で、給与や昇進の仕組みが正社員と分かれている会社もあるので、就業規則や求人票で違いを確かめてください。
- 契約社員のまま社内で正社員を目指すのと、転職するのはどちらがいいですか?
- 会社の登用制度が実際に使われているかどうかで変わります。登用の実績が毎年あるなら社内も選択肢になりますし、実績がほとんどないなら転職で正社員の求人に応募するほうが早いこともあります。まず実績を確かめるのが出発点です。
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