内定のあとに届く労働条件通知書、どこを見る? 求人票と食い違いやすい10項目のチェックリストと、採用担当者への聞き方

採用担当者の視点 公開 2026-10-13

机の上のノートと万年筆、メガネとペン立て

内定の連絡を受けると、「あとは入社日を待つだけ」と考えがちです。けれど、入社後の働き方を決めるのは、面接で聞いた話や求人票ではなく、労働条件通知書などの書面です。

この記事は、届いた通知書を求人票の横に置いて、上から順に確かめられるように作りました。法律で書面に書くことが決まっている項目、2024年4月から増えた項目、違いを見つけたときの採用担当者への聞き方の順に並べています。

労働条件通知書は、いつ届く?

労働基準法第15条では、会社は労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を示すよう定めています。内定と一緒に届く会社もあれば、入社の手続きのときに渡す会社もあります。

承諾の返事をする前に条件を確かめたいときは、

内定承諾の判断のため、労働条件を書面で確認させていただけますか。

と頼んでかまいません。労働者が希望すれば、電子メールなど、出力して書面にできる方法で受け取ることもできます。返事の期限をどう相談するかは、内定の返事は、何日まで待ってもらえるのか?で扱っています。

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求人票と並べて確かめる10項目

#項目見るところ
1契約期間期間の定めがあるか。有期なら更新の基準と上限
2試用期間期間の長さと、その間の賃金や雇用形態が違うか
3就業場所入社直後の場所と、変更の範囲
4業務の内容入社直後の業務と、変更の範囲
5労働時間始業・終業の時刻、休憩、所定時間を超える労働の有無
6休日・休暇年間休日、週休の形、休暇の種類
7賃金の内訳基本給、手当、固定残業代の時間と金額
8賃金の支払い締め日と支払日、計算の方法
9賞与・昇給書面に書いてあるか、口頭の説明だけか
10退職申し出の期限、解雇の事由

1と3〜8、10は、書面で示すことが法律で決まっている項目です。賞与や昇給は口頭の説明でもよいとされているため、書面に書いていなければ、説明の内容をメモしてメールで確かめておくと安心です。

10項目の中でも、食い違いに気づきにくいのは7の賃金の内訳です。固定残業代がある場合は、次の3点が読み取れるかを見てください。

  • 固定残業代を除いた基本給の額
  • 固定残業代が何時間分で、いくらか
  • その時間を超えて働いた分を、別に支払うと書かれているか

求人票の月給が同じでも、固定残業代が何時間分含まれているかで、基本給や時間あたりの賃金は変わります。2の試用期間も、期間中だけ契約社員や時給の扱いになる会社があるので、求人票に書かれていなければ、通知書のどこに書かれているかを探しておきます。

2024年4月から増えた「変更の範囲」は、何を表す?

2024年4月から、すべての労働者について、就業場所と業務の「変更の範囲」を示すことになりました。入社直後の場所と業務に加えて、将来の配置転換などで変わりうる範囲です。

たとえば、就業場所の欄が「本社」でも、変更の範囲が「会社の定める営業所」となっていれば、転勤の可能性があると読めます。業務が「経理」でも、変更の範囲が「会社の定める業務」なら、別の部署への異動もありえます。

有期契約の場合は、あわせて更新の上限(通算の契約期間や更新回数)の有無も示されます。面接で「転勤はほぼない」と聞いていても、書面の範囲が広ければ、どの程度の頻度なのかを聞いておく意味があります。

誰もいないオフィスの机と椅子

求人票と違っていたら、どう聞く?

職業安定法に基づく指針では、求人票などで最初に示した条件を変える場合、企業は変更点がわかる形で示すよう求められています。望ましい方法は、最初の条件と変更後の条件を並べた書面で、通知書の変更部分に下線や色をつける方法も挙げられています。対象には、金額を下げる場合だけでなく、「25万〜30万円」を「28万円」に決める場合や、手当を削る場合も含まれます。

違いを見つけたら、責める言い方ではなく、事実を並べて聞くと話が早く進みます。

求人票では基本給○万円と拝見していましたが、通知書では○万円となっています。差の内訳を教えていただけますか。

月給の中身の読み方は求人票の「月給」に何が含まれているのかも参考にしてください。

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採用担当者は、条件の質問をどう受け取っている?

承諾の前に条件を確かめることは、採用担当者にとっても珍しいことではありません。入社後に「聞いていた話と違う」となれば、早期の退職につながり、会社にとっても負担になるからです。

聞くときに気をつけたいのは、次の2点です。

  • まとめて一度に聞く:気づいた点を1通のメールに番号つきで並べる
  • 答えを書面かメールで残す:電話で説明を受けたら、要点をメールで送り返して確認する

労働基準法第15条では、示された条件が事実と違う場合、労働者はすぐに契約を解除できると定めています。ただ、そうした事態を避けるためにも、承諾の前に確かめておくのがいちばん確実です。

今日やるとしたら

手元に通知書があれば、求人票と並べて、違う箇所に印をつけてください。まだ届いていなければ、採用担当者に書面で受け取れる時期を聞くメールを1通送ってください。

よくある質問

労働条件通知書を、まだもらっていません。催促してもいいですか?
かまいません。労働基準法では、労働契約を結ぶときに労働条件を示すことが決まっています。「承諾の判断のために、条件を書面で確認したい」と伝えれば、採用担当者にとっても自然な依頼です。
メールで届いたPDFでも、正式なものですか?
労働者が希望した場合は、書面の交付に代えて、電子メールなど出力して書面にできる方法で示すことも認められています。PDFで受け取ったら、印刷するかダウンロードして、入社後も見られる場所に保存しておいてください。
入社してから、通知書と違う条件で働かされたらどうなりますか?
労働基準法第15条では、示された労働条件が事実と違う場合、労働者はすぐに労働契約を解除できるとしています。ただ、まずは人事担当者に書面を示して確認し、解決しなければ労働基準監督署などに相談するのが現実的な順番です。

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