有給消化中に、次の会社で働き始めてもいい? 社会保険・雇用保険・就業規則から、今の会社に知られる場面をめぐる4つの思い込み
退職日までの有給消化中も、今の会社との雇用契約は続いています。給与も今の会社から出ますし、社会保険も今の会社で入ったままです。
そのため、有給消化中に転職先で働き始めると、2つの会社に同時に雇われている状態になります。転職先から「早めに来てほしい」と頼まれたときや、空いた時間で少し働きたいときに、どんなことが起きるのか。よくある思い込みを4つ取り上げて整理します。
有給消化中は、もう「辞めた人」ではない?
最終出社日を過ぎると、気持ちのうえでは辞めたつもりになりがちです。ただ、退職日は有給を使い切った日なので、それまでは在籍している社員です。
この期間に別の会社で働くかどうかは、法律より先に、今の会社の就業規則で決まる部分が大きくなります。副業・兼業を許可制や届出制にしている会社では、その手続きを取らずに働き始めると、規定に反したと受け取られるおそれがあります。
最終出社日と退職日の考え方は、退職前に有給休暇は全部使えるのかで詳しく扱っています。
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思い込み1:法律で禁止されているから、絶対に働けない?
会社員が別の会社で働くことを、法律で一律に禁じる規定はありません。厚生労働省も「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を出しており、副業・兼業を原則として認める方向の考え方を示しています。
ただ、実際に認めるかどうかは会社ごとに違います。就業規則で禁止や許可制になっていれば、それに従う必要があります。公務員など、法律で兼業が制限されている立場の人もいます。
「法律で禁止だから無理」でも「法律で自由だから大丈夫」でもなく、就業規則を見て判断する、というのが実際のところです。
思い込み2:社会保険は、新しい会社だけで入ればいい?
新しい会社でも社会保険に入る条件を満たすと、2つの会社で同時に加入する形になります。日本年金機構の案内では、この場合は被保険者本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を、事実の発生から10日以内に出すとされています。
保険料は、2社の報酬を合わせて決めた額を、それぞれの会社の報酬に応じて分けます。決まった標準報酬月額と保険料は、それぞれの事業所に通知される仕組みです。
つまり、転職先の名前までは分からなくても、今の会社は、あなたが別の会社でも働いていることを知ることになります。

思い込み3:雇用保険も、2つの会社で入れる?
雇用保険は、同時に2つ以上の会社に雇われている場合、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける1つの会社でのみ被保険者になるのが原則です(65歳以上の人が対象の、複数の職場の労働時間を合わせて加入する特例は別です)。
今の会社でまだ雇用保険に入っている間は、転職先で資格を取る手続きと重なります。手続きの順番や時期を会社どうしで調整することになりやすく、転職先の担当者から前の会社の退職日を確認されることもあります。
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思い込み4:入社日を早めるしか、転職先に応える方法はない?
入社日を早めてほしいと言われたときの選び方は、大きく3つです。
| 選び方 | 今の会社に知られる可能性 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 入社日を退職日の翌日以降にする | 低い | 転職先に退職日を伝え、入社日を相談する |
| 有給を一部あきらめ、退職日を前に動かす | 低い | 使えなかった有給は原則として消える。今の会社との合意が必要 |
| 有給消化中に入社する | 高い | 就業規則の確認、社会保険・雇用保険の手続きの重なり |
知られたくないことを優先するなら、入社日を退職日の翌日以降にするのがいちばん確実です。社会保険を空白なくつなぐ考え方は、転職のとき社会保険はいつ切り替わるのかにまとめています。
今日やるとしたら
今の会社の就業規則で、「副業」「兼業」「二重就職」という言葉が出てくる条文を探してください。
禁止・許可制・届出制のどれかが分かれば、転職先に入社日をどう伝えるかが決めやすくなります。
よくある質問
- 有給消化中にアルバイトをするだけなら、問題ありませんか?
- 法律で一律に禁止されているわけではありませんが、今の会社の就業規則で副業・兼業が許可制や届出制になっていれば、その手続きが必要です。雇用契約がまだ続いているので、規定を確かめてから判断してください。
- 転職先から「入社日を早めてほしい」と言われたら、どう答えればいいですか?
- 「現職の退職日が○月○日なので、入社はその翌日以降でお願いできますか」と退職日を示して相談するのが一般的です。有給の日数を減らして退職日を前に動かせるかを、今の会社と話す方法もあります。
- 二以上事業所勤務届は、会社が出してくれるのですか?
- 日本年金機構の案内では、届を出すのは被保険者本人で、事実が発生してから10日以内とされています。実際の手続きは会社の担当者と相談しながら進めることが多いので、該当しそうなら転職先の人事に早めに伝えてください。
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