企業型DCは、退職して6か月たつと「自動移換」に。転職先にDCがある・ない・しばらく働かない場合の移し先
「会社の確定拠出年金は、辞めれば会社が手続きしてくれる」と思われがちです。けれども企業型確定拠出年金(企業型DC)の資産は、退職後に本人が申し出て移すのが基本で、6か月以内に手続きしないと、国民年金基金連合会に自動的に移されます。これを「自動移換」といいます。
この記事では、退職後の働き方ごとに、資産の移し先と手続きの窓口を表で比べます。給与明細や福利厚生の案内に「確定拠出年金」「企業型DC」「選択制DC」とあれば、当てはまります。
何もしないと、6か月後にどうなる?
厚生労働省の説明では、企業型DCの加入者が転職・退職で資格を失った場合、6か月以内に資産をiDeCo(個人型確定拠出年金)や転職先の企業型DCなどに移す必要があります。手続きしないまま期限が過ぎると、自動移換になります。
自動移換されると、次のことが起きます。
- 資産が運用されず、そのまま置かれる
- 管理手数料がかかる(iDeCo公式サイトの案内では月52円)
- その期間は、老齢給付金を受け取るための「通算加入者等期間」に入らないため、受け取れる年齢が遅くなることがある
自動移換のあとでも移す手続きはできますが、その間にかかった手数料は戻りません。退職から6か月を一つの期限として控えておきます。
広告
退職後の働き方別に、移し先を比べる
| 退職後の状況 | 主な移し先 | 手続きの窓口 |
|---|---|---|
| 転職先に企業型DCがある | 転職先の企業型DC | 転職先の担当部署 |
| 転職先に企業型DCがない | iDeCo | 自分で選んだ金融機関(運営管理機関) |
| 自営業・フリーランスになる | iDeCo | 同上 |
| 配偶者の扶養に入る・しばらく働かない | iDeCo | 同上 |
| 転職先の確定給付企業年金(DB)が受け入れている | DB | 転職先の担当部署 |
DBへ移せるのは、転職先の制度が受け入れを認めている場合に限られます。このほか、企業年金連合会の通算企業年金に移す方法もあります。
iDeCoに移す場合は、掛金を出し続ける「加入者」になるか、掛金は出さずに運用だけを続ける「運用指図者」になるかを選びます。どちらを選べるかは、国民年金の加入区分や年齢などで変わります。
転職先に企業型DCがあるときは?
転職先の企業型DCに移すと、手続きの窓口が会社になり、自分で金融機関を選ぶ手間がかかりません。入社の手続きのときに、担当者に「前の会社で企業型DCに加入していた」と伝え、移換の書類を受け取ります。
確かめておきたいのは次の2点です。
- 入社してすぐ加入するのか、一定の勤続期間のあとに加入するのか
- 加入できる時期が、退職から6か月を過ぎないか
加入が退職から6か月より後になると、いったん自動移換になるおそれがあります。入社日が決まった段階で、加入の時期を聞いておくと安心です。

転職先にDCがない・自営業になる・しばらく働かないときは?
この場合は、iDeCoに移すのが一般的です。iDeCoは、銀行や証券会社などの運営管理機関を自分で選んで申し込みます。比べるときは、口座管理の手数料と、運用できる商品の種類を見ます。
申込書類は、加入者になるか運用指図者になるかで異なるため、選んだ金融機関の案内に従います。書類のやり取りには時間がかかることがあるので、退職して1〜2か月のうちに申し込むと、6か月の期限に余裕を持てます。
退職して次の仕事まで間があく人は、年金そのものの手続きも必要です。退職して次の会社まで間が空くなら、国民年金の手続きは14日以内にで順番を確かめてください。
広告
手続きの前に、手元にそろえておくもの
- 企業型DCの運営管理機関の名前:入社時の案内や、定期的に届く残高のお知らせに書かれています
- 資産額と、いま運用している商品:加入者向けのサイトや残高のお知らせで確かめます
- 基礎年金番号:基礎年金番号通知書、年金手帳、ねんきん定期便で分かります
- 資格を失った日:通常は退職日の翌日です。会社の担当者に確かめます
退職時に会社から受け取る書類は、退職のとき、会社から受け取る書類と返すものは?で一覧にしています。
今日やるとしたら
給与明細か福利厚生の案内を見て、自分が企業型DCに加入しているかどうかと、運営管理機関の名前を控えてください。
退職日が決まったら、その6か月後の日付をカレンダーに書いておくと、期限を忘れにくくなります。
よくある質問
- 企業型DCの移換は、退職した会社がやってくれますか?
- 移換は本人の申し出によって行うのが基本です。退職後6か月以内に、転職先の企業型DCやiDeCoなどへ移す手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会に自動移換されます。
- 自動移換されてしまったら、もう取り戻せませんか?
- 自動移換のあとでも、iDeCoや転職先の企業型DCへ移す手続きはできます。ただし、自動移換されていた間は運用されず、かかった手数料は戻りません。気づいた時点で早めに手続きしてください。
- 資産が少ない場合、脱退一時金として受け取ることはできますか?
- 資産額や加入期間、iDeCoに加入できるかどうかなどの条件を満たす場合に限り、脱退一時金を受け取れることがあります。条件は細かく決まっているため、加入していた企業型DCの運営管理機関に確かめてください。
しごと大全で見る職業
仕事内容・平均年収・求人倍率は、それぞれの職業ページにまとめています。